サステナビリティ
イノベーションセンター
当社は、2022年10月6日開催の取締役会において、製品開発の中核拠点としてイノベーションセンター(仮称)を新築することを決議しましたので、お知らせいたします。
次の100年を見据えるイノベーションセンター

当グループは約100年前に高田(新潟県上越市)の地に創業して以来、時流に合わせて主力製品や技術を変化させつつ成長を続けてきました。今回の新棟計画に際し、ベテラン社員から若手社員、分野や部門を横断した社員でプロジェクトを立ち上げ、ワークショップを通じて延べ381人が参加し多くの意見を募りました。そこには次の100年を見据えながら、夢と希望にあふれたアイデアが多数集まり、可能な限りその声を計画に多くとり入れました。

雪洞の団欒 -オープンイノベーションの拠点-

この「イノベーションセンター(仮称)」は、当社技術と他社企業・研究機関との技術融合、共創を行うオープンイノベーションの拠点として、そして社員が分野や部署の垣根を越えて自由闊達に交流し、アイデアを生み出す拠点として活用します。また、ワークショップを通して得られたキーワード【部門間のつながり(コラボレーション)】を建築に反映させ実験室と事務所を連携させるワークショップエリアを設計に取り入れました。お客様や地域の皆様との融合を目的とした大きなイベントホールも特徴となります。
厳しさと優しさを併せ持つ自然との共存(ZEB Readyを目指して)


本社が所在する高田は世界的にも有数の豪雪地帯として知られています。大雪と共存する住まいの形式として生まれた雁木町家が現在でも数多く残され、歴史的な街並みを形成しています。また、高田城址公園の城跡を巡る外堀を埋め尽くす蓮(東洋一の蓮)や約4000本の桜が内堀に咲き誇る(日本三大夜桜)名所としても知られ、季節ごとに祭りが行われています。本計画では、伝統や文化をデザインモチーフとして取り入れつつ、この地域がもつ自然や土地のポテンシャル(雪、光、風、工場排熱など)を最大限活用する計画としました。
以下では今回導入する3つの代表的な技術をご紹介します。新棟ではこれらの省エネ技術を効果的に組み合わせ、ZEB Ready※の実現を目標としています。
※ZEB(ネットゼロエネルギービル)認証の一つ。省エネで従来の建物で必要なエネルギーを 50%以上削減する。
① 屋根で雪を集めた冷熱を熱源とする「現代版雪室」

冬季に屋根面に積もる雪の冷熱を、潜熱蓄熱材(PCM)を封入した蓄熱槽に蓄熱します。回収した冷熱は、冷房期の冷熱として利用します。蓄熱した雪冷熱を全量利用した後の季節でも、外気が冷涼な時期の夜間は、空冷ヒートポンプにより夜間蓄熱し日中放熱させる運転も可能としています。夏季のピーク時期にはピークカットも可能となり、従来の雪室と比べ通年で活用が可能となります。
② 省エネ・健康に寄与する「躯体・温水蓄熱を併用した工場排熱利用」

工場内のVOC処理装置(VOC:揮発性有機化合物)から年間を通じて24h得られる工場排熱を暖房利用します。躯体・温水のハイブリッド蓄熱により深夜の排熱も昼間に最大限活用します。また、コンクリート壁内に冷温水配管を敷設することで躯体蓄熱を可能とし、冬季の立ち上がり負荷を低減させます。
工場排熱を利用する床暖房は、オフィスエリアに設け、靴を脱いで利用できる空間構成することで温かみを直接感じられるようにしました。足元の冷えを防止することで血流を良くし社員の健康にも寄与します。
③ 冷涼な外気を活かし多様な気流場を形成する「自然換気」


雁木町屋に見られる「吹き抜け」と「ハイサイドライト」の構成を踏襲し、重力換気と風力換気を利用した自然換気を行います。日較差が大きな気候特性を活かし、夏季にもナイトパージにより深夜の冷涼な外気を躯体蓄熱します。空調と自然換気を組み合わせたハイブリッド運転でコントロールすることで、エリアごとの運用ニーズに応じた多様な気流場を形成します。
- 所在地 :新潟県上越市大字中田原1番地(当社中田原工場内)
- 規模 :地上3階建
- 構造 :鉄骨造一部SRC造
- 竣工時期:2025年度 竣工予定
- 設計 :株式会社小堀哲夫建築設計事務所
2017年「ROKI Global Innovation Center -ROGIC-」で日本建築学会賞、JIA日本建築大賞を同年にダブル受賞。
2019年に「NICCA INNOVATION CENTER」で二度目のJIA日本建築大賞を受賞。
2020年~法政大学デザイン工学部建築学科教授。